縮毛矯正と髪質改善の違い
Contents

まず、簡単に下の表を把握しておいてください。
特性 | 説明 | 例 |
---|---|---|
酸性 | pHが7未満を酸性 | 染毛剤の酸性活性剤 |
弱酸性 | pHが7よりわずかに低く、髪に優しい酸性の特性を持つ | アミノ酸を含むトリートメント |
中性 | pHが7で、髪の自然な状態を保つ | 純水、一部のシャンプー、一般的なヘアコンディショナー |
アルカリ | pHが7を超え、髪のキューティクルを開き、染色やパーマに使用される | アンモニア、パーマ剤のアルカリ成分 |
酸性の度合い

- 酸性とは酸としての性質があるということで、pHが7よりも小さいものをいう
- pHの値が小さければ小さいほど、酸性の度合いが強いということになる

では、髪質改善は最近よく聞く言葉ですので、簡易的にポイントをおさえて詳細に語ってみたいと思います。あくまでこれは私の見解になりますが。

はい。ファイテン美容商材を理美容室へ卸している観点から、見解をお願いします。

では、まず髪質改善の「改善」という文字を調べてみます。改善とは、悪いところを改めてよくするという意味があります。ということは、とても幅が広い範囲を示すことができます。
その為、理美容室ごとに表現している髪質改善という用語の意味を理解していないと、望んでいる結果を得ることが難しい場合があります。

ん?どういうこと?

少し難しいかもしれませんが、この機会に参考程度に見ていただければと思います。
では、従来の髪質改善メニューの縮毛矯正を説明します。まず「縮毛」という言葉を調べてみると、その意味は毛髪が縮れていることを指します。縮れた髪を伸ばすには、非常に強力な薬剤が必要であり、その効果も半永久的に持続するということになります。
従来の髪質改善の縮毛矯正
チオグリコール酸やシステインなどの還元剤を使った縮毛矯正剤を使用する、毛髪をストレートにするメニューになります。処理による毛髪のダメージが大きく、処理後にはトリートメントをすることをお勧めしたいメニューになります。

では、ChatGPTに聞いてみましょう。

一般的な縮毛矯正は、毛髪のクセを矯正するために、還元剤と酸化剤の作用、そして高温での機械的処理が用いられます。具体的には、チオグリコール酸やその塩、システアミンやその塩、またシステインなどの還元剤と、アンモニア水、モノエタノールアミン、炭酸水素アンモニウム、アルギニンなどのアルカリ剤を含む第1の処理剤を毛髪に塗布し、ケラチンタンパク内のジスルフィド結合を還元開裂させます。その後、中間的に水洗いを行い、乾燥させた後にアイロンなどで高温の機械的処理を行い、毛髪をストレートに伸ばします。最後に、過酸化水素や臭素酸ナトリウムなどの酸化剤を主成分とする第2の処理剤を用いて、ジスルフィド基を酸化して毛髪をストレートに固定します。
システアミンを還元剤として使用する縮毛矯正用処理剤も提案されています。システアミンを含む髪質改善剤は、広がりやすい髪質を抑えたり、髪を柔らかくしやすくセットしやすくするための処理を行います。しかし、システアミンを還元剤として使用する場合、処理中の臭いが問題となります。さらに、この臭いが処理後も毛髪に残存する可能性があります。
通常、縮毛矯正剤の還元性第1剤は、アルカリ剤を必須成分として使用しています。アルカリ剤には、アンモニア水、エタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミノアルコール類を使用していますが、このようなアルカリ剤の使用により、還元性第1剤のpHは8.9〜10.0の範囲でアルカリ性領域を構成しています。
その為、アルカリ剤の使用により毛髪を効果的に膨潤させ、膨潤した毛髪内部に還元性第1剤を浸透させますが、毛髪の膨潤は、毛髪損傷の原因となります。
最近では、アルカリを全く添加しない、システアミンパーマ剤もありますが、アルカリ剤を添加せずとも充分な毛髪膨潤を誘導している、pH8. 9以上であったりする場合もあります。

縮毛矯正剤が医薬部外品とされるのは、アルカリ溶液を使用している場合だと聞いていますが、調べるとノンアルカリのシステアミンを使用した縮毛矯正剤もありますが、どういうことですか?

アルカリ溶液を使用している製剤だけが、医薬部外品に該当するとは限りません。ただし、多くの医薬部外品の商品には品質の保持のためにアルカリ剤を用いているのが現状です。
一般的には、国が定める「パーマネント・ウェーブ用製造販売承認基準」を満たし、かつ、医薬部外品の効能効果を謳う場合、医薬部外品に該当します。
また、化粧品の場合は、化粧品基準に違反する成分を含有してはいけません。化粧品基準の規定に違反しない成分について、企業責任のもとに安全性を確認し、選択した上で配合されています。
化粧品の場合は、有効成分を謳うことはできず、定められた化粧品の効能を超えて広告、表示することはできません。
システアミンは令和6年3月26日付「システアミン塩酸塩を配合した化粧品の取扱いについて」に記載されてありますが、当該成分は医薬品成分に該当することとなり、配合する条件が設定されてあります。
ざっとこんな感じですが、次は最近よく聞く髪質改善を説明していきます。

その前に、それぞれの項目をきちんと整理して、混同しないようにしましょうね!
酸性縮毛矯正剤
酸性縮毛矯正剤は、医薬品と化粧品の中間に位置する医薬部外品で、主にシステアミンなどの還元剤を使用し、少量のアルカリ剤が補助的に添加されてあります。p Hはわずかにアルカリ寄り、又は、中性〜わずかに酸性に調整されています。
酸性化粧品登録商材
酸性化粧品登録商材は、化粧品基準規定の酸性還元剤を使用し、化粧品として販売されるためには、化粧品基準に従い、適切に登録されています。
最近よく聞く髪質改善とは
髪質改善をうたっている写真を見ますと、大抵はヘアセット後のような綺麗なストレートヘアのスタイルを見かけることが通常ですので、私は下記のように解釈しています。
髪質改善とは
髪質改善とは、軽いうねりを抑えて艶のあるまとまり良い毛髪にすること。
現在、美容業界で髪質改善でよく聞くメニューは、酸熱トリートメント、酸性ストレート、髪質改善トリートメントになります。

それぞれ、説明していきますね。
酸熱トリートメント
パーマ処理とは、くせ毛を直毛状の形態にすることですが、従来、還元剤を含む第1剤を毛髪に塗布し、毛髪内のジスルフィド結合を切断して毛髪を変形させていました。

さっそく難しい言葉があります。ジスルフィド結合とは何でしょうか?最近流行りのChatGPTに聞きましょう。

ジスルフィド結合は、二つの硫黄原子が共有電子対を共有して結合する化学結合のことです。この結合は、タンパク質の構造や安定性に重要な役割を果たします。タンパク質の分子内でシステインと呼ばれるアミノ酸の側鎖に含まれるチオール基 (-SH) が、他のシステインのチオール基と反応してジスルフィド結合を形成します。
ジスルフィド結合は、タンパク質の三次構造を保持するために重要であり、タンパク質の畳み込みや構造の安定化に寄与します。これにより、タンパク質は正しい形に保たれ、機能を果たすことができます。

なんだか難しいですが、ジスルフィド結合とシスチン結合は同じものを指します。シスチン結合は、アミノ酸システインが形成するジスルフィド結合のことを指します。
従来の第1剤には、毛髪を膨潤し還元剤の働きを促進するためにアルカリ剤が使用されていました。ダメージをした毛髪に還元剤とアルカリ剤を含む第1剤で処理をすると、過膨潤による毛髪損傷を伴います。
ノンアルカリ システアミンベースのパーマ剤も、毛髪処理過程で生じる過膨潤をある程度抑える効果がありますが、完全に回避できないので、ダメージ毛の毛髪損傷を解決できない部分がありました。

だから美容師さんは、ブリーチ毛のくせ毛を伸ばすのは難しいと言っているのですね。
酸熱トリートメントは、上記のようなダメージ毛髪の処理過程で生じる膨潤による毛髪損傷を少なくし、ダメージ毛やハイダメージ毛に対する毛髪形状の変形を可能にしているメニューになります。pH4.5以内がダメージ毛髪での過膨潤を抑える酸性領域のpHになり、酸熱トリートメントでは主成分のグリオキシル酸による毛髪の矯正処理を酸性領域でしています。
ストレートパーマの架橋剤として美容業界でも注目されていますが、癖を伸ばす力は弱いとされています。また、課題として、強酸性や高温化のアイロンの取り扱いが必要となります。そのため、過去の施術履歴を考慮し、将来の施術を予測して組み合わせを検討することが重要です。美容師さんにとっても、毛髪のダメージを誘発するリスクが伴う処理です。

商材には長所と短所があります。毛髪の状態に合わせて使用する商材を調整することができるのが、美容師さんの腕の見せ所になります。
記事引用
グリオキシル酸を用いた酸熱トリートメント技術の記事
酸性ストレート
GMTとスピエラという還元剤などを使った化粧品登録商材を使用する、毛髪をストレートにするメニューになります。

化粧品登録商材とは、何でしょうか?さっそく、ChatGPTに聞いてみましょう。

「化粧品登録商材」という用語は、厚生労働省の化粧品等の医薬品・医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬事法)に基づく登録制度に関連しています。
化粧品登録制度は、化粧品や美容商材の製造・販売業者が、厚生労働省に製品を登録することで、製品が特定の基準を満たしていることを証明し、安全性や品質が確保された製品であることを示す制度です。登録された製品は、「化粧品登録商材」と呼ばれます。
この登録制度により、製品には特定の成分のみが含まれており、厚生労働省が使用を認めている安全な成分が含まれていることが保証されます。これにより、消費者が安心して製品を使用できるようになります。
縮毛矯正処理での第1剤は、pHがアルカリ性に設定されたものが多く使用されています。
第1剤のpHをアルカリ性に設定するのは、還元剤の還元力を高めるためであり、pHが高いほどに還元力が高まる傾向がありますので、主目的である毛髪強制力の程度を大きくできることを意味しています。その一方で、毛髪の損傷の原因である過剰な還元を伴います。
普段の熱の当て過ぎのヘアアイロンの物理的処理や、ヘアカラー処理による毛髪の損傷蓄積があるダメージ毛の場合、アルカリ性の第1剤を作用させると、毛髪の膨潤が大きく、毛表皮の剥離、間充物質の流失などにより毛髪が傷み、損傷が著しくなるといった問題が生じます。
これを避けるために第1剤のpHを低くすれば、還元剤の還元力が弱まり、また、アルカリ剤を使用しないpH7.0以内で働くスピエラ(ラクトンチオール)やGMT(チオグリコール酸グリセリル)という還元剤を使用すれば、毛髪形状の変形効率が低下しますが、ダメージを抑えて対応できるというものが酸性ストレートというメニューになります。
酸性ストレートは、毛髪の癖を伸ばすことを主な目的としています。同時に、仕上がりの毛髪の指通りを向上させる還元剤でもあります。このメニューでは、水抜きアイロンによる約190〜200℃の高温での機械的処理が行われます。

酸性還元剤を使った水抜きアイロン技術では、髪内部の余分な水分を適度に飛ばし、タンパク質の結合を再配置することで、ストレートの形状を固定します。髪に少量の水分が残っている状態でアイロンをかけると、形が安定しやすくなります。
しかし、水分が多すぎて「ジュー」という音がする場合、髪に深刻なダメージを与えるリスクがあります。この音は、過剰な水分が急激に蒸発しているサインで、注意が必要です。
したがって、酸性還元剤を使った水抜きアイロンには、適切な水分量の調整と温度管理が重要です。髪が脆くなりやすいことや、タンパク質の損傷リスクもあるため、慎重な施術が求められます。
また、酸性ストレートは癖を伸ばすことを目的に使用されることがありますが、通常のアルカリ縮毛矯正剤とは異なり、癖が伸びた後に癖が戻りやすい傾向がありますので、持続力はおおむね半年程度と考えられます。
髪質改善トリートメント
先ほど説明した、酸熱トリートメントを髪質改善トリートメントとうたっているところや、通常のサロントリートメントを髪質改善トリートメントとうたっているところがあります。

酸熱トリートメントは、毛髪の内部に栄養を補給し、潤いを与えるために使用されますが、全くダメージを与えないわけではありません。また、一部のお客様は「トリートメント」という名前に惑わされ、製品が毛髪にダメージを与えないと誤解することがあります。さらに、サロントリートメントの場合、髪の毛の内部に栄養を与えることが主な目的であり、癖を伸ばす効果は限定的であることも覚えておくべきです。

えっ?
髪質改善トリートメントでも綺麗なストレートヘアの写真を見かけますが、癖が伸びないのですか?

癖が伸びている伸びていないは、個人差があり判断が難しいところがあります。
個々の髪質や状態によって結果が異なることもありますので、理美容師さんへのご確認をお勧めします。

では、次回はファイテンの出している髪質改善メニューのアンチフリッツの説明をしていきますね。