なぜわたしは髪を「すきバサミ」で梳かないのか。浜松の美容師が正直に書く。

パリで出会った、ジェロウム

パリのシャンゼリーゼにある美容室でスタージュをしたとき、ひとりのスタイリストに目を奪われた。

わたしは、パリで1年間いた時があるが、チップをいっぱいもらえた、ただのシャンプーボーイだった。
そこで出会った憧れのスタイリストがいた。

名前はジェロウム。70歳を超えているというのに、サングラスをかけ、毎日違う服装で颯爽と立っている。そのかっこよさだけでも十分すぎるほどだったが、私が本当に衝撃を受けたのは、彼の手元だった。

ロングヘアをショートにスタイルチェンジする施術を、長さや量感、質感までも——すべてをシザー一本だけで仕上げ、それをわずかな時間でやり切ってしまう。

カット料金は1万円。シャンゼリーゼという土地柄もあるだろうが、日本では一度も見たことのない技法だった。

「すく」という行為の、意外な違い

その後、わたしは日本でカットをしていた。

ジェロウムのシザー一本で毛量を調整する切り方を参考にした。セニングシザーを使わない技法、と言えばイメージしやすいかもしれない。

ただ、正直に言うと、私自身は「すき方の道具にこだわりがあるわけではない」と思っていた。セニングシザーでも、シザー一本でも、結果が良ければどちらでもいい、と。

技法の違いは、何だったのか?

他の美容師の方に話を聞いて検証した。

返ってきた意見で興味深かったのは、「セニングシザーとシザーカットでは、髪の重みの残り方が違う」という指摘だった。

つまり、シザーカットではまとまりが出やすい。一方セニングシザーは、間引くように重いとこを狙ってすいたとしても、軽さの出方が異なる。同じ「すく」という言葉で括られていても、仕上がりの質感は別物になり得る可能性もあるということ。

私自身なんとなくそう感じていたことが、今、少しずつ言語化されてきている。

技術に、答えはあるのだろうか。

美容室ディーラーとして業界を外から見てきた経験から言えば、

「美容に唯一の正解はない」

というのが、わたしの自論だ。

だからこそ、一番しっくりくるやり方を、私なりに考え続けている。
最後に決めるのは、そのお店のお客様だから、正解はないのです。

カット技法は美容師によってさまざまな考え方があります。
ここでは私自身の経験からの考察を書いています。

これは技術の話だけじゃない。

サロンのコンセプトも、発信の仕方も——全部同じことが言えます。

正解は誰かが決めるんじゃなく、来てくれた人との間に生まれる。

髪の悩みは、技術だけでなく「どんな時間を過ごすか」でも変わります。
安心して落ち着いて過ごせる環境を大切にしたい方は、その点も含めて美容室を選ぶと無理がありません。

当サロンでは、静かに過ごしたい方にも心地よくお過ごしいただける空間づくりを大切にしています。

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